It’s not my day! -ついてないな!

英語には「今日はついてないな」という時に使える便利な表現があります。それが “It’s not my day.” です。実はこの表現、私がニューヨークで見たある政治家の敗戦の弁から印象に残ったものでした。

2019年という時期

 私がニューヨークに滞在した2019年には、ちょうど2020年に行われる大統領選挙に向けた各党内の予備選挙が行われていました。共和党の方は当時現職一期目だったトランプ大統領に対立候補がほとんど現れず、全く盛り上がりを欠いたのですが、民主党の方は当初20名余りの候補者が名乗りをあげ、一種百家争鳴状態になっていました。

 この予備選挙ですが、実に1年近くの時間をかけて選挙戦が行われ、サバイバルゲームの様相を呈します。どういうことかというと、各州の投票が始まる前から、これ以上選挙戦を続けても勝ち目はないと判断した候補者から順に脱落して行き、アイオワ州を皮切りに各州で順次投票が行われるようになると投票で敗退した候補者が離脱していく、というプロセスを経て、最後に残った2人のうちの一方が敗北宣言をしたところで実質的に選挙が終わるという形で選挙戦が進行するのです。昨日まで威勢よく論陣を張っていた候補者が、一夜明けるとあっさりと離脱宣言などという光景も良く目にして、米国というのはこういう社会なのかという感慨を抱いたものでした。

ニューヨーク市長の敗戦の弁

そのようにして、民主党の予備選から脱落した候補者の一人が当時のニューヨーク市長でした。正直な所、私が耳にした限りではニューヨーク市民からの評判は余り芳しくなく、大統領になりたい野望が見え見えで、ニューヨーク市長をただの腰かけポストとしか考えていないのではないか、という評判がもっぱらだったように思います。私もニューヨークに住んでいましたので、彼の敗戦の弁をニュースで聞く機会がありましたが、彼がこんな表現を使ったのが印象に残っています。
It’s not my time.
 私の世代の日本人なら、有名な「虞や虞やなんじを奈何せん」の歌に出てくる「時不利」を思い出させるような表現である一方、「タイミングが悪かっただけだ」という負け惜しみにも聞こえるし、「いつかは俺が勝ってやるんだ」という矜持にも聞こえる面白い表現だなと感じたのを覚えています。

 ここで一言言っておきたいことがあります。米国人は容易に自分の非を認めないというような言われ方を目にすることがあるのですが、一般の米国人の印象に関する限り、そんなことは全くありません。むしろ、事後処理社会になっている分、日本人よりも素直に気軽に誤ってくれる印象があります。ただ、政治家や然るべき立場にある人はまた別です。その点も日本と大して事情は変わりません。

It’s not my day

 さて、この「It’s not my time.」は、「私の時代ではない」というニュアンスになるので、大袈裟すぎて日常会話では使いにくいですが、ずっと規模を縮小した感じの「It’s not my day.」は日常会話の中でも良く使われます。脱退(敗戦)候補者のような負け惜しみにも使えるし、単純に不運を嘆くときにも使います。日本語の表現としては、「今日はついてないな」というニュアンスになり、例えば次のように使われます。

 “You missed every shot in the game. It’s crazy. What happened to you?” ”Well, it’s just not my day.”
(「このゲームでシュートを全部外したな。おかしいぞ。何があったんだ?」「まあ、ついてなかっただけさ。」)
 I missed the exam because the train was delayed. It’s not my day!
(電車が遅れたせいで、試験に間に合わなかったよ。ついてないな。)

 使う機会が余りない方が幸せな表現ではありますが、もし、不幸にしてそんな状況に陥ってしまったら、こんな表現も使ってみては如何でしょうか?


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です