ここでは、「知ったかぶり」の技術とその効用についてお話しします。
「知ったかぶり」は本当に悪いことか
現役の公務員時代、「知ったかぶり」が得意中の得意でした。「知ったかぶり」という言葉には明らかにマイナスのイメージがあり、見栄を張るとか、内実が伴わないのに偉そうにするとか、無用な意地張りをするといった悪い意味で使われることが多いと思いますが、実は上手に使うと非常に役に立つ技術なのです。
専門家との会話で起きる問題
誰かに何かを聞きに行くとき、特に相手がその道の専門家で、自分が全くの素人である場合、「何も知らないので一から教えてください」と言われたら、専門家はその分野に詳しければ猶更、どこから説明するべきなのか戸惑ってしまうでしょう。また、こちらも時間ばかりかかって肝心なことが聞き出せない可能性が高くなります。こんな時、可能な範囲でその分野の情報を集め、大体こういうことではないかという推測をつけ、もっともらしく聞こえそうな用語を幾つか仕入れておいて、現場ではあたかもある程度知っているかのように、「こういうことは分かるのだが、そこから先が良く分からないから教えてほしい」、と聞くのが上策です。さて、何が起こるでしょうか。
「知ったかぶり」で会話が動き出す
私の推測が当たっていれば、こちらがある程度の知識を持っていることを前提に、「では、まずこの問題ですが」とすんなり話が始まりますし、外れていれば、「いや、それはそういうことではなくて」という所から話が始まります。いずれの場合でも、専門家がどこから話を始めるか迷う必要は無くなります。また、自分の方も予め推測しておいたことが検証されたうえで話が始まるので、少なくとも一つは確実な知識を前提に話を聞くことができます。当然、格段に理解が進みます。双方にとってWin winです。大切なことは、推測が外れていても全く動じず、「ああ、そうだったんですか。すっかり誤解していました。」とでも言って、平然としていることです。間違っても「知ったかぶりがばれた」と思って焦ってはいけません。誰にだって知らないことはあるし、間違って理解していることもあるものです。
「知ったかぶり」は仮説思考の応用
じつは、「知ったかぶり」のこういう使い方というのは、「仮説思考」の応用なのです。こちらは仮説を立てて行ってその検証から話を始めるし、相手には、自分がどこまで知っているかについての仮説を持って話をしてもらう、そのことで実りのある会話ができるのであれば、やらない手はありません。そして、そういう事情ですから、「知ったかぶり」は、本当に知っている人と有意義に会話するためにこそ使うべきで、知らない人に自慢するために使うべきではない、というのも当然のことです。
次の記事も仕事術の関係です。
説得の技術
「報連相」を受ける上司の技術
コメントを残す