私が「英語ができる」ようになった日

 英語ができるようになる瞬間は、自分で気づくものではなく、ある日突然やってきます。今日は、私がその瞬間を迎えた日の話です。

 皆さんは何年何月何日に英語ができるようになりましたか?私の場合は、2015年10月17日でした。

 私は長い間、自分は「英語ができない」ものだと思っていました。学生時代には「英語ができるようにならなければいけない」というプレッシャーだけは強く感じていて、読みもしない読めもしない英字新聞を延々と取り続けたり、英会話学校に通ってみても全然上達感がなくてやめてしまったりしました。その後地方公務員になり、仕事で英語を使うことは全くありませんでした。

 30代の半ばの頃、新しく開業する鉄道会社に派遣されます。そこで私は、ソウル市役所からの英文の手紙を受け取りました。ソウル市の副市長が日本を訪問する際に、その会社にも立ち寄って話を聞きたいという趣旨の依頼でした。当時はまだメールすらなかった時代で、日程調整のためには電話をかけるしかありません。何とか話すことを用意して電話を掛けたものの、電話口の向こうで「He is not here now.」と言われた瞬間、頭が真っ白になりました。先方の担当者がいないと聞いた瞬間に固まってしまい、一言も言葉が出なくなったのです。担当者と話すことは考えていたものの、いなかった場合に何というべきかは全く準備していなかったからです。この経験があってから、わたしはますます英語に苦手意識を持つようになりました。

 だからこそ、詳しいことは別の記事でご紹介しますが、大島で英国人の審査員に対応してプロジェクトを成功させ、小さな島のことですから「赤木支庁長は英語がペラペラだ」という噂が島中に伝わって、今日から自分は「英語ができる人」として生きていくことになるんだと思った時には、なんとも不思議な感覚でした。それが、2015年10月17日のことでした。

 私は、「英語ができる」ようになるとは、一面でこういうことではないかと思っています。自分が「英語ができる」かどうかは他人が判断することで、自分がある時点で自覚するようなものではないのではないかと。自分にできることは、地道に着実に自分の能力を高めることだけです。しかし、他人から「英語ができる」と思われたらそれなりの責任が生じます。それこそが、「英語ができる」ようになったということなのです。

 英語ができるようになる日は、あなたが思っているよりずっと静かに、しかし確実に訪れます。

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