ここでは、発音のトレーニングに余り熱を入れない方が良い理由について書いています。
2025年シーズンまで千葉ロッテマリーンズの監督を務めた吉井理人さんが、コーチ時代を回顧してこんなことを仰っていたのを見たことがあります。選手には、言葉で聞いたことをすぐに身体運動に表せる選手(ダルビッシュ選手はこの点で抜群だったそうです。)とそれが苦手な選手がいるので、言葉で指導して終わった気になってはいけない。
これは、英語の習得に対しても実に示唆的です。まず、耳で聞いた音を正確に再現できるかどうかは、「音感」の問題に属し、トレーニングによって向上させることはできる(とは言え、英語の発音のためにソルフェージュや物まねの練習をすることには抵抗があるでしょうが)ものの、個人の資質の差が非常に大きいものです。そして世の中には、残念ながら「音痴」に類する人も確実に存在します。では、発音の方法、例えば声の出し方とか音のつなげ方とかを、言葉で説明したとしても、発音は口の中の極めて小さな動きではあるものの「身体運動」には違いないので、人によっては言われたことを実際に口の動きとして表すのが非常に難しい人もいるでしょう。何ごともそうですが、自分の苦手なことの訓練に大きな時間と労力を割くのは、あまり意義のあることとは言えません。
でも、心配しないでください。何故なら発音はそれほど重要ではないからです。今の時代、お互いに連絡を取り合うのはチャットやSNSやメールなどが中心で、これらはいずれも文字情報です。また、お互いに対面で話をするときには、資料を見せながら話したり、ボディランゲージだったり表情だったりで、かなりの程度の情報を伝えることができます。昔も今も最大の難関は「電話」ですが、どうしても電話でコミュニケーションを取らなければならない機会は今非常に少ないのではないでしょうか。加えて、現代の英語話者の半数以上はノンネイティブと言われています。これはリスニングにとっては悩ましい状況ですが、発音に関してはかなり下手でも許されることになります。
ただ、一つだけ気をつけてください。どんなに流暢で上手な発音でも、区切るところを間違えたら絶対に通じません。逆に発音に自信のない方は、区切り(フレージング)に全力を傾注してください。大丈夫、絶対に通じます。
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