ここではリスニングの練習が難しい理由と私なりの工夫についてお話しします。
リスニングの特訓の前に
英語を上達させようとする時に、多くの人にとって難関になるのが「リスニング」です。何せ相手が「音」という捉えどころのないものなので、システマティックに取り組むのが難しい。勢い、とにかく何べんでも聞いて、自分でも発音して、耳を馴らすといった「特訓モード」に陥りやく、やってもやっても上達した気がしない、というのは多くの人が悩むところではないかと思います。正直、こうすれば誰でも絶対にできるようになるという方法論を見つけるのは大変困難ですが、闇雲に「特訓モード」に入る前に、少し頭を整理しておくことは、有意義だと思います。
聞き取れない原因はさまざま
まず、「聞き取れない」という現象を全て「リスニングの問題」と捉えるのは間違っています。「聞き取れない」原因に関して、いくつかの問題を区別して考える必要があるのです。まず、知らない単語や表現は絶対に聞き取れません。文字を見てもさっぱり分からない表現を耳で聞いてわかるはずがありません。また、同様に、文字で見てどういう構造になっているか分からない文は、耳で聞いて聞き取れません。こうした語彙や構文がネックになって聞き取れないという現象は、使える語彙や構文のストックを増やす以外に解決策はなく、従ってこれは「リスニングの問題」ではありません。
音の聞こえ方の改善は難しい
音そのものに関する問題について言えば、「音感」の良し悪しと言う問題は間違いなくあって、「音」そのものを認識する能力に関する個人差が大きいことは認めなければいけないと思います。しかも、今どんな音が聞こえているかと言うことを言葉で表現するのは極端に難しく、聞こえている音について他の人と共有したり、比較したりできないので、どんなに優秀な語学指導者でも「聞こえる音」についての指導はできません。英語の発音の仕組みについて、音のつながり方や消え方などを丁寧に解説してくれる先生はいて、そういう説明が有意義な方は習うとよいと思いますが、言葉で聞いたことと「感覚」が連動するかどうかには個人差があるので、誰もが説明を聞いて「聞こえ方」が変わる訳ではありません。さらに、音感を鍛える方法もなくはないのですが、それはソルフェージュやコーリューブンゲンなど音楽の訓練に属し、語学の学習としてはかなり迂遠です。
仮説-検証型リスニング上達法
であれば、ここは割り切って、自分に聞こえている音以外に「正しい音」や「本来聞こえるべき音」がある訳ではないと考え、まずは自分に聞こえている音で勝負するしかありません。
語彙や構文の問題はそれとして別に対処しなければならないし、聞こえる「音」そのものについては改善のしようがない、と言うことであれば、残る課題は、文と音との関係づけをすることに尽きることになります。これに関しては、簡単ではありませんが、方法論が無い訳ではありません。そしてここでも重要なのは、「仮説を持って聞く」ということです。どういうことかと言うと、兎にも角にも聞き取れた部分を基に残りの部分大胆に推測して仮説を立て、こういう風に聞こえるはずだという予測を立てて聞き、どこが当たっていてどこが当たっていなかったかを検証する、という過程を繰り返しながら、少しずつ自分に聞こえている音と英文との結びつきを形成していくというのが、私が知る限り最善の方法です。
簡単ではないし、時間と労力を要する作業ですが、やってみると意外に急速に聞き取れるようになっていくのが分かると思います。一つの言語の中で使用される音素の数は有限で、しかも使用頻度は均等ではなく、極端に使用頻度の高い音が存在しますから、使用頻度の高いコアな音が聞き取れるようになるのには、それほど時間がかかりません。使用頻度の低い音は、まあ、気長に構えて習得していくしかありません。でも、個人差はありますが、この方法で努力するうちに「聞こえ方」の方も徐々に変わっていきます。
焦らず一歩ずつ
この方法を取るにせよ、別の方法でやるにせよ、焦りは禁物です。感覚が伴う話なので、どんなに優秀な人でも、一を聞いて十を知るという訳にはいかないのです。ども、努力には必ず結果がついてきます。そして、努力を続けるうち、自分なりの工夫ができてきます。じっくり構えて、継続的に取り組みましょう。まずは、ほんのささやかな一言の聞き取りから。
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