ここでは、米国の地方政府との交流に関わるエピソードをご紹介します。
ハワイ州下院議長からの手紙
2018年の年末のことでした。JLGCNYの私のところにScott Saikiさんという人から手紙が届きました。年末にニューヨークに行く機会があるから、可能なら事務所に寄って私に会いたいというご依頼でした。記憶が判然としませんが、確か手紙にはご自身についてハワイ州の州議会議員であることだけが記されていたと思います。米国人スタッフに調べてもらうと、実はハワイ州議会の下院議長であることが分かりました。米国の「州」は主権国家ですから、言わば衆議院議長に当たります。そんな偉い人が、私に何の用があるのだろうと訝しくは思いましたが、先方の打診してきた日時に不都合はなかったので、スタッフを通じて秘書の方に訪問を歓迎する旨の回答をしたのです。
事務所に現れたSaiki氏
12月のある日、Saiki氏は実際に事務所に現れました。秘書もスタッフも連れず、一人でいらっしゃったのです。私も一人でSaikiさんを迎えました。赴任当初は、私を含む日本人スタッフの語学力を心配して、来客の時には米国人スタッフが同席してくれていたのですが、米国はホリデーシーズンで米国人たちは家庭を優先していましたし、赴任から半年以上経って十分場数も踏み、米国人との面会にも自信がついていましたから、私の方から同席する必要はないと断ったのです。
さて、Saikiさんの用件ですが、更に驚くべきことでした。自分は先日、全米州議会議員連盟(National Conference of State Legislatures 略称NCSL)の第二副会長に選ばれた。従って2年後には会長に就任するが、そうすると日系人で初のNCSL会長ということになる。(米国の地方関係の団体では、第二副会長を選挙で選んで、翌年に第一副会長、良く翌年に会長を務めるというシステムを取っているところがいくつかあります。)これは記念すべきことなので、自分の任期中に是非NASLと日本の地方議会議員との交流を促進するための取り組みを行いたいと思っているので、是非協力してもらいたい、というのがSaikiさんのご依頼でした。
米国での「安請け合い」の効用
米国は事後調整社会なので、安請け合いしておいて後で「やっぱりできなくなった」と言っても余り悪くは受け取られません(従って皆平気でドタキャンしてきます)が、日本式に「そう言われてもできるかどうか分からないので、まず関係者と調整してから、協力できるかどうか回答します」などという態度を取ろうものなら、「もう良いよ。相談しないから。」と愛想を尽かされます。もちろん、初めから無理だと分かっている依頼は断っても構いませんが、どうなるか分からない話はとりあえず安請け合いしておくに限ります。これは実は多くの日本人が米国で失敗するポイントでもあります。
その後
私も当然、「Congratulation. I’ll do my best to promote the mutual exchange between the US and Japan under your leadership.」とか何とか、盛大に安請け合いして、Saikiさんを見送りました。その後、Saikiさんの任期は世界的なコロナの流行と重なってイレギュラーな形になりましたが、私の帰国後、話を受け継いだスタッフたちがSaikiさんの訪日を実現してくれました。
実はSaikiさんとは、2019年の夏に私がハワイに行く用事があった際に、現地で再会しています。その時に取らせてもらったツーショット写真は、私の自慢であり、宝物でもあります。
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