東大入試の英語要約問題

 ここでは、私のごく若い頃の英語体験を、現在の時点から「仮説思考」の観点で振り返ります。

英語の要約問題

 私が東大を受験したのはもう半世紀近く前ですが、それ以前から今日に至るまで、東大は入試で400語くらいの英文を読んで、70~80字の日本語で要約させるという問題を出し続けています。私たちの頃には「英語の2番」として受験生の間で有名だった(最近は1番になっています。)この問題は、多くの受験生から「楽勝問題」、「得点源」として歓迎されていました。何故なら、「英語ができなくても解ける」からです。

要約問題の解法

 どういうことかと言えば、「英語ができない」とはいっても東大受験生の話ですからかなりの語彙力はあり、文章をざっと眺めてキーワードになっているらしい言葉を抜き出してくることは比較的容易にできます。また、文法ももちろん分かっていて、全体としての論理構成が順接的に進んでいるのか、逆説的に進んでいるのか、はたまた仮定的に進んでいるのかということも見て取れます。後はそこから大胆な想像力を駆使して文章が何を言っているかを推測し、70~80字の日本語で書きます。(指定された字数の文を書くことについては、東大受験生はこれでもかというほど訓練されています。)こうして、「英語ができなくても」、「英文を読まなくても」満点ではないまでも何ほどかの点数は取れるということになるのです。

「仮説思考」としての解法

 「推測」というと聞こえが悪いですが、要は文章中の最小限の要素を拾い出して、文章の内容についての「仮説」を立てているのです。しかも受験生は、東大の過去の出題傾向を綿密に調べ、東大が受験生に何を求めているかについて自分なりの「仮説」を持って臨んでいますから、仮説が的中する確率は、名探偵コナン君ほどではないにしろ、かなり高くなります。東大が、今もこの問題を出し続けているということは、そういうタイプの学生を是としていることを示していると思います。

英語学習法への教訓

 さて、自分たちがこの英語の要約問題に「英語ができないけど得点できた」のではなく、「仮説」を駆使して英語をモノにすることこそが「英語ができる」ことなのだと気がつくまでに、私は40年近い時間を要しました。若い頃の私は、ご多分に漏れず、「ペラペラ」になること、考えずに使えること、ネイティブのようになることが、「英語ができる」ことだと信じていましたから、この問題は「英語ができないけど解けた」のであり、「自分は英語ができない」のだと信じて、英語と無縁の生活を送っていたのです。

東大式語学習得法?

 考えてみれば、東大は多くの学者・文化人・政治家・経済人を輩出し、その中には非常に堪能な語学を駆使し、時には何言語も操って国際的に活躍人が少なくありません。私は今、そうした人たちの多くが、「英語脳」を鍛えたり、「シャドーイング」の特訓をしたりするのではなく、私が提案しているような仮説検証型の語学習得法を、恐らくは私より上手に使って堪能な語学力を身につけたことを疑いません。英語コーチとしての私がやろうとしていることは、私自身が何かたいそうな発見をしたのでは全くなく、昔からの「東大式」語学習得術を時代に合わせて幾分カスタマイズした上、誰にでも実践可能な方法論として、皆さんにお伝えしようとしているに過ぎないのかもしれません。

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