これは、私が大島で国際優秀つばき園の認定取得に取り組んでいた時に参加した国際つばき大会でのエピソードです。
国際つばき大会に参加した高校生
2016年2月、中国の雲南省大理市で開催された国際つばき大会には、3つの認定取得を目指す伊豆大島から8人が参加しました。その中には当時まだ大島高校の2年生だったH君も混じっていました。国際つばき協会のメンバーは年齢の高い人が多いため、17歳だった彼は、それだけでもひときわ目を引く存在でしたし、英語が物凄くよくできるという訳ではないながら、積極的に他国からの参加者に話しかけて交流を図ろうとしてくれたので、世界中から集まったつばき愛好家たちに可愛がられ、あちらでもこちらでも彼の噂が語られる状況でした。
Corporation!
さて、ある時見学先の椿の森に向かうバスの中で、H君は偶々隣り合わせた米国人の参加者と名交換をして、その人が苗木園を営んでいることを知ると、彼の仕事のことを聞こうとして、こう話しかけました。「Is your corporation…」彼がここまで言いかけた時、その更に向こうに座っていた年配の英国人が大声で「Corporation!」と叫ぶと爆笑し、治まったところでH君にこう言いました。
“Young man, corporation is for giants like IBM. This chap’s nursery — charming as it is — doesn’t quite qualify.”
(坊や、Corporationっていうのは、IBMみたいなでかいやつのことを言うんだ。こいつの苗木屋は、まあ悪くはないが、Corporationにはちょっと足りないな!)
H君も苗木園の米国人も、ちょっと恥ずかしそうに照れ笑いをしていましたが、この一件のおかげで一気に場が和み、私たちは初対面の英米人たちと楽しく旅を続けることができました。
ネイティブに笑われた?
客観的に見れば、H君は「不適切な英語を使ってネイティブに笑われた」のだと言えなくはありません。ただ、英国人が大笑いしたのが、小さな苗木園とCorporationという言葉との想像だにしなかった結びつきが余りにおかしくて、「あの苗木園がCorporationだってさ、あはははは」という反応だったのは誰の目にも明らかでしたし、だからこそ米国人も照れ笑いしていたのでしょう。そして、H君の「不適切」な発言は、場を和ませ、参加者同士の心の距離を縮めるのに大きな貢献をしたのです。
失敗の功徳
私も常に行動を共にしたわけではないので分かりませんが、積極的に話しかけていたからこそそれだけ、大小合わせてこの種の失敗がH君には何度もあったのではないかと思います。でも、彼は最後まで参加者中の人気者でしたし、全員の心に好印象を残しました。そしてその好印象は、大島に対する好印象や好奇心にもつながりました。もちろん、全ての失敗が良い結果を生むわけではありません。ただ、人と人とは基本的に分かりあえるし、分かりあおうとするものなので、私の経験上、積極的にコミュニケーションを取りに行った上での失敗は、何かしらお互いにメリットをもたらしているように思います。
英語の失敗は、あなたの評価を下げるどころか、むしろ人との距離を縮める力になることがあります。だからこそ、恐れずに話しかけてみることは、英語が上達するために不可欠なだけでなく、周囲の人にも意外な余得を与えたりするものなのです。
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