ここでは、英語と比べたスペイン語の文法の特徴について、自分の経験を交えてお話しします。
1 ニューヨークの英語学校で
ニューヨークに赴任して間もない頃、非英語話者を対象にした英語学校の体験レッスンに参加してみたことがあります。動機としては、その時点では周囲がネイティブばかりの環境への適応にもう一つ自信を持てずにいたせいもありますし、米国人がやっている英語学校がどんなものなのか純粋に興味があったせいもあります。実際に行ってみると、そこはニューヨークですから世界中の実に多様な地域からやって来た人々が集まっていましたが、やはり人数的には中南米(北中南米を総称して英語ではAmericasと呼びます。)出身の方が一番多いように見えました。
2 アルゼンチン女性の嘆き
米国らしく、体験レッスンにまでReceptionが用意されていて、そこでアルゼンチンから来たという中高年女性と話す機会がありました。彼女に言わせると、米国にやって来てもう大分年数が経つけど、英語という言葉はどうにも良く分からない。スペイン語というのは、非常にルールがきちんとしていて迷いなく使えるが、それに対して英語はルールがぐちゃぐちゃで、使うたびに混乱するとのことでした。当時はまだスペイン語を学習する前で何も知りませんでしたらから、「へえ、そうなんですね。」程度の軽い返事を返しただけでした。
3 スペイン語文法の性格
ところが日本に帰って、自分でスペイン語を勉強してみると、彼女の言っていたことが非常によく理解できました。同系列のフランス語やイタリア語と比べても、格段に文法が良く整理されていて体系的で、特殊な例外が少ない印象があります。対する英語の文法は特殊な例外の山ですから、スペイン語話者が英語に対して、「ちゃんとルールを決めてくれ」と言いたくなるのも無理はないと思います。
4 スペイン語とラテン語
そのことと関係があるかどうか分かりませんが、実はフランス語やイタリア語に比べて、スペイン語はラテン語の文法を一番よく保存しています。まず、点過去や過去未来という時制が存在することからして、ラテン語に近いですが、その活用語尾も実によく似ています。同じ「置く」という意味のpono(ラテン語)とponer(スペイン語)を比べてみると、点過去について、
ラテン語 posui,posuisti,posuit,posuimus,posuistis,posueruntスペイン語 puse,pusiste,puso,pusimos,pusisteis,pusieron
となります。未来の活用などもよく似ています。
上記の動詞は偶々一致していますが、語彙に関しては、3言語の中でイタリア語が一番よくラテン語を保存しています。こういう発見があることも、語学学習の大きな楽しみです。
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