華やかな女性たち

コンサーバティブ・ウーマン―アメリカン・コンサーバティブその3

保守系の女性に対する思い込み

 私は渡米前の段階で、コンサーバティブに対する女性たちについて、明確なイメージを持っていた訳ではありません。だから、米国で実際のコンサーバティブ・ウーマンたちの姿を見て、「予想が裏切られた」という言い方は正確ではありません。むしろ、実際に目にした彼女たちの姿が余りに衝撃的だったので、「コンサーバティブ・ウーマン像」について改めて考えさせられたと言う方が事実に近いでしょう。そして、自分が何となくの連想として、どちらかと言えば年配の古風で厳格な感じの女性像(さすがにコルセットをしてボンネットを被っているとまでは思わないにしろ)にコンサーバティブ・ウーマンのイメージを重ねがちだったことに初めて気づかされたのです。

華やかなコンサーバティブ・ウーマンたち

 米国で実際に目にしたコンサーバティブ・ウーマンには、人種と年齢を問わず華やかな雰囲気で艶やかな感じの人が実に多いのです。全員とは言いませんが、派手目のメイク、カーリーなロングヘア、ボディコンシャス気味の服などが広く見られる特徴です。一般にスタイルも良く、明るく、表情も豊かです。そして、若い世代のコンサーバティブ・ウーマンも非常に多い。

 もし機会があれば、TPUSA(Turning Point USA)という団体が毎年開催しているYWLS(Young Women’s Leaders’ Summit)という集会の動画が公開されていますので、是非一度ご覧になっていただくと良いと思います。彼女らがどんな雰囲気の人たちなのか、非常に良く分かります。そして、華やかで艶やかな感じの女性たちが集まって、主イエス・キリストの言葉を語り、母になることの喜びと責任を語り、乱れた性風俗を批判するという、我々の先入観にとって多分に違和感がある光景は、この集会に限らず、多くの保守派のイベントで目にすることができます。

 あくまでも推測ですが、こういう傾向が生じる背景には、反対のリベラル側が「ジェンダー・フリー」を掲げて中性的な装いを好んだり、女性の「美しさ」を批判の対象にしたりすることの反発があるように思えます。だからこそ、「女性らしさ」「華やかさ」「美しさ」をやや極端に強調するきらいがあるのかもしれません。実際「The beauty is the virtue of women」(美は女性にとっての徳だ)とはっきり発言する女性を見たことがあります。

是非ご紹介したい人たち

 一般論的な印象だけでは漠然としているので、何人か特筆すべき米国のコンサーバティブ・ウーマンをご紹介したいと思います。

 エミリー・コンパニオ(Emily Compagno)は、現在40代で保守系FOXニュースのキャスターを務めています。現在では女性のことを「美人」と形容することに強い批判と多くの議論があることは承知した上でなお、この人に限っては「美人」と形容することに躊躇を感じません。少なくとも過去に関して冷静かつ客観的な判断ができる人なら、彼女のような女性が久しく「美人」と呼ばれてきたという事実を否定しないだろうと思います。彼女の経歴は実に異色で、NFLのオークランド・レイダース(現ラスベガス・レイダース)でプロのチアリーダーとして働く一方、カリフォルニア州で弁護士の資格を取り、刑事を中心に事件を担当するという何ともユニークな「二足の草鞋」を履いていました。FOXのキャスターとしても、法律知識を生かして社会問題に鋭く切り込む一方、レイト・ショーに出演してはジョークを飛ばして笑わせたりする多才なところを見せ、2024年には「Under His Wings: How Faith on the Front Lines Has Protected American Troops」と題した本を出版しています。

 ライリー・ゲインズ(Riley Gaines)はまだ20代、元はケンタッキー大学で競泳選手として活躍し、全米チャンピオンになったこともあるアスリートです。大学選手権に参加したいわゆる「トランスジェンダー女性」に敗れたことから、危機感を持ち、女子スポーツを守るために「トランスジェンダー女性」(生物学的には男性であるような女性)が女子スポーツに参加すること自体、さらには同じロッカールームを女子選手と共用することに対して強い批判の声を上げたのが、コンサーバティブの活動に参加するきっかけでした。NCAAに対する共同訴訟を提起者の一員となるほか、多くの保守派の政治家とも連携しながら活動を続け、「女子スポーツを女性の手に取り戻す」運動の象徴的存在になっています。

 ジェニーン・ピロ(Jeanine Pirro)は、もう70代になりますが、トランプ大統領に任命されて、米国の首都ワシントンD.C.で「コロンビア特別区連邦検事」を務めています。私が米国にいた頃、FOXニュースの人気キャスターとして「Justice with Judge Jeanine」という番組を持っていました。その時点で60代でしたが、華やかな風貌と妙な迫力のある、歯に衣着せぬ語り口に強い印書を受けたのを覚えています。(非常に聞き取りやすい英語を、良くリスニングの材料に使わせてもらっていました。)司法の世界で数々の「女性初」を務めてきたことを自負しており、「自分が失敗したら後に続く女性たちの道を閉ざしかねない」といつも必死だったと述懐しているのを見たことがあります。また、地区検察官としてDVの問題に熱心に取り組んできたとも言っていました。そういう女性も、強くトランプ大統領を支持するコンサーバティブ・ウーマンなのです。

 黒人のコンサーバティブ・ウーマンの中で影響力がある人としては、アヤン・ヒルシ・アリ(Ayaan Hirsi Ali)がいます。ソマリア生まれで、難民としてオランダに渡り、その後米国に移ったという経歴があるので、米国で生まれ育ったわけではありませんが、イスラム教批判、またイスラム教からの女性の解放において急先鋒となっている感もあり、国際的にも影響力がある女性です。現在50代で、ハーバード大学に籍を置いています。

コンサーバティブ・ウーマンの理解のために

 考えてみれば、日本では今まさにコンサーバティブ・ウーマンが首相を務めており、もちろん他にも、参政党や自民党の女性議員などコンサーバティブ・ウーマンは数々います。また、世界的にコンサーバティブ・ウーマンを代表する存在として、イタリアのジョルジア・メローニ首相の日本での知名度も上がっているように思います。ただ、点として現れてくる政治家の背後にいるはずの広範な女性保守層の姿は、日本ではまだまだ見えにくいように思います。

 一方、米国では、何と言ってもFOXニュースを始めとする保守系メディア、情報発信力のある全米規模の保守系団体や著名なオピニオン・リーダーの存在などのおかげで、ずっと見えやすくなっています。そして、実際米国社会に大きな影響力を持っています。にも関らず、私たちにフェミニスト寄りの女性像を何となく前提に考えてしまう習慣がついているせいか、目の前に見えているはずの彼女らの姿が甚だ見えにくくなっているのが現状ではないかと思います。しかし、コンサーバティブ・ウーマンを視野に入れないことは、ざっくり言って米国人の四分の一を等閑視することになります。

本当に魅力的な人物がたくさんいますので、是非関心を持ってください。

アメリカンコンサーバティブ
コンサーバティブを知る必要性
その1小さな政府
その2政教分離
その4資本主義と市場
その5妊娠中絶問題の前提
その6プロライフ(妊娠中絶反対派)の思想


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です