米国に暫く暮らすと、人の名前を冠した場所や施設が実に多いことに気がつきます。ここでは、Donation文化と密接な関係がある、そうした米国のネーミング(命名)文化を紹介します。
公園につけられた名前
ニューヨーク赴任中、私のアパートはLexington AvenueとE 97th streetの交点にあって、ストリート沿いに西へ3ブロック歩くとそこがセントラルパークの入口でした。入って南に少し歩いたところに一つ、北に暫く歩いたところにもう一つ、子供のための遊具広場がありました。それぞれ名前がついていて、南の方が「マーガレット・L・ケンパー・プレイグラウンド」、北の方が「ロバート・ベンドハイム・プレイグラウンド」です。どちらも、この公園を寄贈(Donation)した篤志家の名前です。実はセントラルパーク内にたくさんある遊具広場のほとんどに、寄贈者の名前が付けられています。有名な所では、セントラルパークの西側に「ダイアナ・ロス・プレイグラウンド」があります。そう、あの歌手のダイアナ・ロスが寄贈したのです。
至る所に名前が付けられる
米国では、寄贈者の名前を施設名に冠するのが通例で、公園のほか、美術館の展示室、図書館のベンチなどにも人の名前がついていますし、ブロードウェイ劇場のトイレの個室などというところに人の名前がついている例もあるようです。
また、街中を注意して歩いていると道端にプレートがあって、「〇〇コーナー」と曲がり角に人の名前がついている場所があることに気がつきます。曲がり角についている名前の多くは、その付近で殉職した警察官で、ニューヨーク市警察局が設けている制度によって顕彰されたものです。もちろん、ルーズベルト島、リンカーン・センター、ジョン・F・ケネディ空港など大統領の名前を冠した施設や地名もあります。
日本人の感覚からすると、かなり違和感もあるのですが、米国人にとって「死後に名を遺す」のは名誉なことであり、本人と言うよりは、周囲の人やお世話になった人たちが、感謝の意を込めて命名することが多いようです。これも、紛うことなき米国文化の一面だと思います。
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